兼業農家とは簡単に言うと何?

兼業農家とは簡単に言うと何?

「農業に興味があるけれど、今の仕事も続けたい」「兼業農家という言葉をよく耳にするけれど、正確にはどのような意味なのだろう」と疑問に思われることはないでしょうか。
近年、働き方の多様化に伴い、農業と別の仕事を両立させるライフスタイルに大きな注目が集まっています。
とくに地方の人口減少や高齢化が進む中で、地域農業を支える新しい担い手として期待されるようになっています。
この記事では、兼業農家とは簡単に表現するとどのような働き方なのか、専業農家との違いや具体的な分類、そしてメリットやデメリットまでをわかりやすく解説します。
最後までお読みいただくことで、ご自身のライフスタイルに合った新しい農業の形を見つけるためのヒントが得られると考えられます。

農業と別の仕事を両立して収入を得る農家のことです

農業と別の仕事を両立して収入を得る農家のことです

兼業農家とは、簡単に表現すると農業も行いながら、会社員やパートなど別の仕事でも収入を得ている農家のことです。
農林水産省の統計上の定義においても、世帯員の中に農業以外の仕事に従事している人がいる農家として位置づけられています。
つまり、農業一本のみで生計を立てるのではなく、複数の収入源を持ちながら農業に関わる柔軟な働き方だと言えます。
従来は「農業だけでは食べていけないから別の仕事もする」という消極的なイメージを持たれることもありました。
しかし現在では、副業やパラレルワーク、二拠点生活といった新しい働き方の一環として、積極的に兼業農家を選択する人が増えているとされています。
農業と他のビジネスを掛け合わせることで、それぞれの経験を活かした相乗効果を生み出すことも期待されています。

専業農家との違いと兼業農家の2つの分類

専業農家との違いと兼業農家の2つの分類

兼業農家という働き方がどのように定義されているのかを深く理解するためには、専業農家との比較や、農林水産省が定める分類を知ることが非常に役立ちます。
ここでは、それぞれの違いや特徴について客観的に解説します。

専業農家との明確な違い

兼業農家と対比される言葉に「専業農家」があります。
専業農家とは、世帯の中に農業以外の仕事で収入を得ている人が一人もいない農家のことです。
家族全員が農業のみに従事し、生活に必要な収入のすべてを農業から得ている状態を指します。
一方で兼業農家は、世帯の中に会社員や公務員、自営業など、農業以外の仕事で収入を得ている人が一人でもいる場合を含みます。
この点が、両者を分ける最も大きな違いと考えられます。

第一種兼業農家と第二種兼業農家の違い

兼業農家は、農業収入とそれ以外の収入のどちらが多いかによって、さらに2つの種類に分類されます。
この区分を知ることで、それぞれの農家さんがどのようなバランスで働いているのかが理解しやすくなります。

第一種兼業農家:農業収入を主軸とする働き方

第一種兼業農家とは、世帯の総収入のうち、農業による収入の方が、農業以外の収入よりも多い農家のことです。
基本的には農業を中心として生活の基盤を築いており、農閑期などの空いた時間を利用して別の仕事をしているケースが多く見られます。
農業のプロフェッショナルとしての意識が高く、事業規模も比較的大きい傾向があると言われています。

第二種兼業農家:農業以外の収入を主軸とする働き方

第二種兼業農家とは、世帯の総収入のうち、農業以外の収入の方が、農業による収入よりも多い農家のことです。
平日は会社員として働き、週末の休みを利用して農業を行う「週末農業」などがこの分類に当てはまります。
現在の日本では、兼業農家の大部分がこの第二種兼業農家に該当するとされています。
生活の基盤は別の仕事で安定させつつ、無理のない範囲で農業を続けるスタイルです。

兼業農家が注目される理由とメリット・デメリット

兼業農家という働き方には、特有のメリットとデメリットが存在します。
参入を検討される場合は、両面を正しく理解することが重要です。

メリットとしては、以下のような点が挙げられます。

  • 収入源が分散されるため、天候や市場価格の変動による農業リスクを軽減でき、生活を安定させやすいです。
  • 農業を始める際のハードルが低く、別の仕事で得た資金を農業への投資や補助金申請の準備に充てることができます。
  • デスクワーク主体の仕事をしている場合、農作業が適度な運動となり、心身のリフレッシュにつながる可能性があります。

一方で、デメリットとしては次のような点が指摘されています。

  • 複数の仕事を持つため、純粋に労働時間が長くなり、体力的な負担が大きくなる傾向があります。
  • 農作物の世話は休日や天候に関わらず必要な場合があり、時間管理や両立が非常に難しいとされています。
  • 農業所得と給与所得の両方がある場合、確定申告の手間が増えるなど、事務的な作業負担が発生します。

現代における兼業農家の多様な実践例

現代における兼業農家の多様な実践例

兼業農家と一口に言っても、その働き方やライフスタイルは多岐にわたります。
ここでは、現代の社会状況に合わせた代表的な働き方の実践例を3つご紹介します。

実践例1:週末農業を活用した会社員との両立

最も一般的なスタイルの一つが、平日は都市部の企業で会社員として働き、週末だけ農業を行う働き方です。
このスタイルでは、生活費の大部分を会社員の給与で賄うため、経済的な不安を抱えることなく農業に挑戦できます。
近年では、都市部に住みながら週末だけ地方の農地へ通う「二拠点生活(デュアルライフ)」を実践する方も増えています。
農業を趣味の延長からビジネスへと徐々に育てていくことができるため、初心者にも適した方法と考えられます。

実践例2:農閑期を利用した季節ごとの働き分け

稲作など、特定の季節に作業が集中する農業においてよく見られるスタイルです。
春から秋にかけては農業に専念し、農作業が少なくなる冬場(農閑期)には、スキー場や食品工場、除雪作業などの短期アルバイトで収入を得ます。
古くからの伝統的な兼業の形でもありますが、現在ではリモートワークの普及により、冬場は自宅でIT関連の業務を行うといった新しい働き方も登場しています。
年間を通じて時間を有効に活用できる点が大きな魅力です。

実践例3:半農半Xによる理想のライフスタイルの実現

「半農半X(はんのうはんえっくす)」とは、自分や家族が食べる分の食料を小さな農業で賄いながら、残りの時間は自分の好きなことや得意なこと(X)で現金収入を得るという生き方です。
この場合の「X」には、Webデザイナー、ライター、カフェ経営、NPO活動など、さまざまな職業が当てはまります。
農業による収入の最大化を目指すのではなく、生活の質や心の豊かさを重視する価値観に基づいており、現代の新しい兼業農家の形として注目されています。
地域社会に溶け込みながら自分らしさを発揮できるため、移住者を中心に人気を集めているスタイルです。

安定と柔軟性を備えた新しい農業の形です

安定と柔軟性を備えた新しい農業の形です

兼業農家とは簡単に表現すると、農業とそれ以外の仕事を両立させ、複数の収入源を持つ農家のことです。
専業農家とは異なり、収入の柱が複数あることで、生活の安定を図りながら農業に関わることができます。
また、農業収入の割合によって第一種兼業農家と第二種兼業農家に分類され、現代では会社員と両立する第二種兼業農家が主流となっています。
時間不足や体力的な負担、確定申告の手間といったデメリットはありますが、収入の安定やリスク分散といったメリットは非常に大きいと考えられます。
週末農業や半農半Xなど、ご自身のライフスタイルに合わせた多様な関わり方ができるのが兼業農家の最大の魅力です。

これから農業に関わってみたいとお考えの方にとって、いきなり専業農家を目指すのはハードルが高いかもしれません。
しかし、現在の仕事を続けながら少しずつ農業を始める「兼業農家」という選択肢であれば、リスクを抑えながら新しい挑戦をスタートすることができます。
まずは週末の小さな農作業から始めてみるなど、無理のない範囲で一歩を踏み出してみてはいかがでしょうか。
ご自身に合ったペースで、豊かな農業ライフを実現されることを応援しております。