
農業を別の仕事と並行して行いたいと考えている方や、実家の農地を活用したいと検討している方にとって、実際のところどれくらいの稼ぎになるのかは非常に気になるポイントと思われます。
本業の給与などに加えて農業からの利益がどれくらい得られるのか、その実態を知ることは、今後のライフスタイルを設計する上で欠かせません。
本記事では、最新の調査データなどを踏まえながら、兼業農家が得られるリアルな金額や、経費との関わりについて詳しく解説します。
読み終えていただく頃には、農業と本業を両立させた場合の具体的な金銭面でのイメージが明確になり、今後の計画作りへの不安が解消されるはずです。
農業から得られる実際の利益は年数十万円が目安

兼業農家とは、農業を行いながら、それ以外の仕事でも生計を立てている農家のことを指します。
この際、手元に入るお金について考える上で非常に重要なのが、「農業収入」と「農業所得」の違いです。
農業収入とは、農作物を販売して得られた売上全体のことです。
一方で農業所得とは、その売上から肥料代や農機具の維持費などの経費を差し引いた、最終的な手元に残る利益を意味します。
多くの場合、農業収入そのものはある程度の規模に見えても、経費を差し引いた後の農業所得で見ると少額になる傾向があります。
農林水産省系のデータを用いた分析によれば、準主業経営体の平均農業所得は22.1万円、副業的経営体では13.7万円とされています。
また、別の集計データでは副業農家の農業所得が約57万円とされるなど、参照する定義によって数値に幅はあるものの、概ね年間に数十万円規模であることが一般的な目安と考えられます。
したがって、農業単体で大きな利益を上げるというよりも、本業との組み合わせで生活全体を成立させるという視点が重要になります。
農業単体での利益が控えめになりやすい背景

農業所得が数十万円規模に留まりやすいのには、いくつかの明確な理由が存在します。
ここでは、収益構造や兼業農家ならではの事情について詳しく解説します。
経費の負担が利益を圧迫しやすい構造
農業は、作物を育てる過程で様々なコストが発生する産業です。
種や苗、肥料、農薬といった直接的な消耗品に加えて、トラクターなどの農機具の購入費用や維持費、さらには施設の修繕費などが必要となります。
売上が立っても、これらの経費が大きく膨らんでしまうと、結果として手元に残る農業所得は少なくなってしまいます。
特に規模が小さい兼業農家の場合、売上に対する経費の割合が高くなりがちです。
農機具などの固定費は、生産規模が小さくても一定の負担が求められるため、利益を圧迫する大きな要因となります。
本業との両立による時間や規模の制約
兼業農家は、農業以外の本業に多くの時間を割く必要があります。
そのため、専業農家のように広大な農地を管理したり、手間のかかる高収益な作物を大量に栽培したりすることは困難です。
限られた休日や早朝・夕方の時間を使って農作業を行うため、どうしても生産規模は限定的になります。
規模が小さければ、当然ながら出荷できる農作物の量も限られ、結果として得られる農業収入には上限が生まれます。
農業所得が少なくなるのは、兼業という働き方を選択している以上、必然的な側面があると言えます。
生活の柱ではなく副収入としての位置づけ
兼業農家における収入のメインは、あくまで本業から得られる給与などの収入です。
農業は、生活費を稼ぐための主軸ではなく、家計を助ける副収入や、自分たちで食べるための自家消費を目的としているケースが多く見受けられます。
また、将来的に農業で独立するための準備期間として、あえて規模を抑えて経験を積んでいる方もいらっしゃいます。
このように、最初から農業単体での大きな利益を追求していないという姿勢も、平均的な農業所得が少額になる要因の一つと考えられます。
農業を単に儲からないものと悲観的に捉えるのではなく、生活全体の一部として機能している実態を理解することが大切です。
収入規模や働き方に応じた兼業農家の実態

兼業農家と一口に言っても、栽培する作物や確保できる時間、販売ルートなどによって、その収益性は大きく変わります。
ここでは、代表的な働き方や収入のモデルをいくつか紹介します。
給与所得と少額の農業所得を組み合わせるケース
最も一般的なのが、平日は会社員として働き、週末に実家の農地などを管理するケースです。
この場合、生活の基盤は完全に本業の給与によって支えられています。
農業からの所得は年間で10万円から30万円程度となり、主な目的は農地の維持や自家消費、直売所での小規模な販売などです。
利益を追求するというよりも、ライフワークや地域貢献としての意味合いが強く、金銭的なリスクを抑えながら農業に関わることができるのが特徴です。
農業にかかる経費も極力抑え、無理のない範囲で活動を続けるスタイルと言えます。
確定申告の基準を意識して活動するケース
兼業農家として活動する際、税務上のルールである確定申告の要否を意識する方も多くいらっしゃいます。
給与所得者である会社員の場合、給与以外の所得が年間20万円以下であれば確定申告が不要になるという特例が存在します。
このルールを一つの目安として、農業所得が20万円を超えないように規模を調整している方も少なくありません。
ただし、ここで基準となるのは売上である農業収入ではなく、経費を差し引いた後の農業所得です。
一方で、本業がフリーランスや個人事業主である場合はこの特例は適用されず、農業所得を含めた全体の所得で申告を行う必要があるため注意が必要です。
販路を工夫して収益性を高めるケース
兼業農家であっても、工夫次第で農業所得を大きく伸ばしている方もいらっしゃいます。
例えば、手間がかからず単価の高いニッチな作物を選択したり、インターネットを通じて消費者へ直接販売を行ったりするケースです。
既存の流通ルートを通さず、独自のブランド価値を構築することで、小規模であっても高い利益率を実現することが可能です。
また、国や自治体が提供する補助金や支援制度を上手に活用し、初期投資の負担を減らすことで収益性を高めている例もあります。
本業で培ったマーケティングやITの知識を農業に応用することで、専業農家にも負けない効率的な経営を行っている方も増えつつあります。
本業とのバランスを見極めながら最適な形を探す

ここまで解説してきたように、兼業農家が農業から得る所得は、年間数十万円程度が一般的な相場です。
売上である農業収入が多く見えても、様々な経費を差し引いた結果として手元に残る金額は控えめになる傾向があります。
しかし、それは兼業農家という働き方が失敗しているわけではありません。
本業の収入という強固な柱があるからこそ、農業において大きな金銭的リスクを背負うことなく、自分のペースで活動を続けることができます。
税制上の特例を意識しながら小規模に楽しむのも良いですし、独自の販路を開拓して本格的な副業として育てていくのも素晴らしい選択です。
農業単体での利益の大きさに一喜一憂するのではなく、本業を含めた生活全体の豊かさという視点を持つことが何より重要です。
現在、兼業農家としての生活を検討されている方は、まずはご自身が農業にどれだけの時間と資金を割けるのかを整理することから始めてみてください。
無理のない範囲で小さくスタートし、経験を積みながら徐々に自分に合った規模や販売方法を見つけていくのが最も確実な道と考えられます。
本業と農業の良いところを組み合わせた、あなたらしい新しいライフスタイルが実現できることを心より応援しております。