
農業に興味があり、働きながら農業を始めたいと考えたとき、気になるのがお金の事情ではないでしょうか。
本業と両立する働き方を選んだ場合、一体どれくらいの収入が得られるのか、疑問に思う方は多くいらっしゃいます。
兼業農家の年収について検索していると、さまざまな数字が出てきて混乱してしまうこともあるかもしれません。
この記事では、兼業農家の収入の実態や、押さえておくべき確定申告のポイントなどを分かりやすく解説します。
最後までお読みいただくことで、農業から得られる実際の利益と、世帯全体の収入のバランスを正しく把握できます。
収入の仕組みや実態を理解すれば、ご自身に合った無理のない農業の始め方や、将来の事業計画を立てるためのヒントがきっと見つかるはずです。
農業からの所得は少額でも世帯全体の収入は安定しやすい

働きながら農業を行う兼業農家の収入事情について、結論から申し上げますと、農業からの所得自体は少額になりやすい傾向があります。
農業は天候や自然環境の影響を受けやすく、小規模な経営では大きな利益を生み出すことが容易ではないためです。
しかし、悲観する必要はありません。
本業からの安定した給与などの収入があるため、農業所得と本業収入を合わせた「世帯全体の年収」としては、高水準で安定しやすいのが兼業農家の大きな強みです。
つまり、農業単体での大きな稼ぎを目的とするのではなく、本業の収入を土台にして、プラスアルファの収益や生きがいを農業に求めるスタイルが現実的と言えます。
「総収入」と「農業所得」を分けて考えるべき理由

兼業農家の収入を読み解く上で非常に重要なのが、言葉の定義を正しく理解することです。
メディアなどで紹介される数字の中には、基準が曖昧なものも存在するため、注意深く見る必要があります。
統計データから見る経営体ごとの農業所得
農林水産省などが公表している統計データを参照すると、農業への関わり方によって収入に明確な違いがあることが分かります。
農業を主とする「主業経営体」と、その他の仕事が主である「準主業経営体」や「副業的経営体」とでは、農業から得られる利益に大きな差があります。
例えば、2023年の関連データなどを参照した解説記事によると、農業を主な収入源とする主業経営体の農業所得が平均404.2万円とされているのに対し、準主業経営体は22.1万円、副業的経営体は13.7万円と示されています。
また、別の統計調査をもとに「副業農家の収入は平均年間51.1万円」と紹介する記事も見受けられます。
このように、兼業で行う農業からの純粋な利益は、年間十数万円から数十万円程度になるのが一般的な目安と考えられます。
売上と経費、そして世帯全体での合算
過去の情報や一部の記事では、「兼業農家の年収は516万円」「専業農家は633万円」といった数字が紹介されることがあります。
ここで注意が必要なのは、この数字が「農業だけの利益」なのか、「経費を引く前の売上(総収入)」なのか、あるいは「本業を含めた世帯全体の年収」なのかという点です。
農業には、種や苗、肥料、農機具の維持費などの経費がかかります。
そのため、売上から経費を差し引いた手元に残る利益である「農業所得」で評価することが極めて重要です。
前述の516万円といった数値は、統計年度や算出方法の違い、もしくは本業収入を含めた世帯全体の年収を指している可能性があります。
農業収入と農業以外の収入を明確に分けて考えることが、実態を正確に把握するための第一歩となります。
収入を左右する要素と制度活用の具体例

平均的なデータを見ると農業所得は少なめに感じられるかもしれませんが、やり方次第で収益を高めることは十分に可能です。
また、兼業農家として活動する上で知っておくべき実務的なポイントもいくつか存在します。
ここでは、収益アップの工夫や制度に関する3つの具体例をご紹介します。
1. 規模よりも販路の工夫で収益を高める
兼業農家は本業があるため、農地を大規模に広げたり、作業時間を大幅に増やしたりすることは困難です。
そこで重要になるのが、農地面積の拡大よりも、販路の開拓や高付加価値化に注力するというアプローチです。
一般的な農協(JA)への出荷だけでなく、以下のような方法を取り入れることで、収益率を改善できる可能性があります。
- 農産物直売所や道の駅での直接販売
- インターネットの産直サイトやSNSを活用した個人向け販売
- 飲食店や地域のスーパーとの直接契約
- 珍しい野菜や無農薬栽培など、付加価値を付けた作物づくり
消費者と直接つながり、リピーターとなるファンを獲得できれば、小規模であっても安定した利益を生み出しやすくなります。
2. 働き方によって異なる確定申告の基準
農業で収入を得た場合、避けて通れないのが確定申告に関する手続きです。
確定申告が必要かどうかは、本業の働き方によって基準が異なりますので、事前に確認しておくことが大切です。
会社員など給与所得者の場合、「農業所得(売上から経費を引いた利益)が年間20万円を超えるかどうか」が一つの目安とされています。
農業所得が20万円を超えた場合は、原則として確定申告が必要です。
一方で、本業がフリーランスや個人事業主である場合は、給与所得者とは所得合計の扱いが異なります。
本業の事業所得と農業所得を合わせて計算し、申告を行う必要があるため、ご自身の働き方に合わせたルールを確認しておくことが求められます。
3. 兼業でも活用できる可能性がある補助金・支援制度
農業を始める際には、農機具の購入や施設の整備など、ある程度の初期投資が必要になります。
「兼業農家は補助金の対象にならないのではないか」と考える方もいらっしゃいますが、必ずしもそうとは限りません。
最新の制度解説などによれば、条件を満たせば兼業農家でも利用可能な補助金や支援制度が存在するとされています。
例えば、地方自治体が独自に設けている小規模農家向けの支援金や、新しい設備を導入する際の補助金など、探してみるとさまざまなサポートが見つかる可能性があります。
お住まいの地域の役場や農業委員会などに相談し、活用できる制度がないか情報収集を行うことをおすすめします。
農業と本業のバランスを見極めて無理のない計画を

ここまで、兼業農家の収入の実態や、実務における注意点について解説してきました。
農業からの純粋な所得は、年間十数万円から数十万円程度と比較的少額になりやすいのが現実です。
しかし、総収入と農業所得を分けて考え、本業の収入と合わせた世帯年収として捉えれば、経済的な安定を保ちながら農業に携わることが可能です。
また、販売方法を工夫して利益率を高めたり、利用できる支援制度を賢く活用したりすることで、農業経営をより豊かなものに発展させることも十分に期待できます。
重要なのは、目先の平均値に一喜一憂するのではなく、ご自身の事業としてどのように利益を出していくかという視点を持つことです。
ご自身のライフスタイルに合った農業への第一歩を
働きながら農業を行う道は、決して楽なことばかりではありませんが、土に触れ、作物を育てる喜びは他の仕事では得がたい魅力があります。
経済的なリスクを最小限に抑えながら農業の世界に飛び込めるのは、兼業農家ならではの大きなメリットです。
まずは、週末だけ農作業を行う小さな規模からスタートし、少しずつ経験と技術を積み上げてみてはいかがでしょうか。
ご自身やご家族のライフスタイルに合わせた無理のないペースで、新しい農業の形を楽しんでみてください。
あなたのチャレンジが、実りある素晴らしいものになることを心から応援しております。