新規就農

新規就農の営農計画書に記入例はある?

新規就農の営農計画書に記入例はある?

農業を仕事にしたいと考えたとき、避けて通れないのが書類の作成です。
特に農地の取得や融資の申し込みにおいて、どのような計画で農業を進めるのかを示す書類は非常に重要となります。
しかし、初めてのことで何から書き始めればよいのか、どのような内容が審査で求められるのか不安に感じる方も多いのではないでしょうか。
この記事では、審査担当者を納得させるための書類作成のポイントや、参考になるテンプレートの探し方について詳しく解説します。
この記事を読むことで、ご自身のビジョンを明確な計画に落とし込む方法がわかり、自信を持って就農への第一歩を踏み出すことができるようになります。

営農計画書は自治体の記入例を参考にして作成するのが確実です

営農計画書は自治体の記入例を参考にして作成するのが確実です

新規就農における営農計画書は、各自治体が公開している記入例やテンプレートを活用して作成することが最も確実な方法です。
営農計画書とは、新規就農者が農地を取得する際に農業委員会に提出する重要な書類であり、融資を受ける場合には金融機関の審査対象にもなります。
現在、多くの自治体が公式ウェブサイト上で営農計画書のフォーマットや記入例をオンラインで無料公開しています。
これらをベースにすることで、複雑な書類作成の負担を大幅に軽減することが可能です。

なぜ自治体の記入例を参考にするべきなのか

なぜ自治体の記入例を参考にするべきなのか

自治体が提供する記入例を活用することが推奨されるのには、いくつかの明確な理由があります。
ここでは、その背景について詳しく解説します。

農業委員会や金融機関の審査基準を満たすため

営農計画書は、単なる目標や夢を語るものではなく、事業としての実現可能性を示すための公的な資料です。
農業委員会による農地取得の許可や、金融機関からの農業融資の審査において、この計画書の内容が厳格に評価されます。
自治体が作成した記入例は、これらの審査機関が「どのような情報を求めているか」という実務的な要件を正確に反映しています。
そのため、公式の記入例に沿って作成することで、審査側にとってわかりやすく、信頼性の高い計画書に仕上げることができます。

必要な記載項目が網羅されているため

営農計画書には、多岐にわたる項目を漏れなく記載する必要があります。
一般的に求められる主要な項目は以下の通りです。

  • 創業の動機や目的
  • 過去の職歴や事業実績
  • 取り扱う農産物やサービス
  • 販売先や取引関係
  • 雇用する従業員の計画
  • 現在の借入状況
  • 必要な資金とその調達方法
  • 将来の事業の見通し

ゼロからこれらの項目を整理するのは困難ですが、記入例を参考にすることで、記載漏れを防ぐことができます。
それぞれの項目に何をどこまで書くべきかという分量や粒度も把握しやすくなります。

地域の農業事情に即した計画が立てやすいため

農業は、気候や土壌、地域の支援体制など、地域特性に大きく依存する産業です。
そのため、就農を希望する地域の自治体が提供する記入例を参照することは、非常に理にかなっています。
地元の特産品や推奨される作目、平均的な収量や販売単価などが記入例に反映されていることが多く、より現実的で説得力のある数値計画を立てることが可能となります。

営農計画書を記入する際の3つの重要なポイントと具体例

営農計画書を記入する際の3つの重要なポイントと具体例

ここでは、営農計画書を作成する上で特に重要となる3つの項目について、具体的な記入例を交えながら解説します。
ご自身の状況に照らし合わせて参考にしてください。

創業の動機・目的の明確化

「なぜ農業を始めるのか」という背景や理由を明確に記載することは、就農への熱意と将来のビジョンを伝えるために不可欠です。
ただ「農業が好きだから」といった抽象的な理由ではなく、これまでの経験や今後の目標と結びつけた具体的なストーリーが求められます。

記入の具体例

良い記入例としては、以下のような表現が考えられます。

  • 定年退職を機に、以前から関心のあった有機野菜の本格的な栽培を始め、地域社会の健康増進に貢献したいと考えています。
  • これまでは家庭菜園の規模でトマトを栽培してきましたが、農業大学校での研修を経て専門的な栽培技術を習得したため、専業的農家として独立し、地域の特産品ブランド化を目指します。

このように、過去の経験から現在の行動、そして未来の目標へと繋がる論理的な構成にすることが重要です。

具体的な営農内容と数値計画の設定

作目名、栽培面積、見込まれる粗収入、経費、そして最終的な所得を具体的な数値で示します。
ここでは、単年の計画だけでなく、1年目、2年目、3年目、そして最終目標といった複数年の計画を示すことが効果的です。

記入の具体例

数値計画の具体例は以下のようになります。

  • 1年目:作目名(イチゴ)、栽培面積(10アール)、販売方法(直売所および地元スーパーへの卸し)、目標粗収入(300万円)
  • 3年目:作目名(イチゴ)、栽培面積(20アールに拡大)、販売方法(直売所に加え、オンラインでの直接販売を開始)、目標粗収入(700万円)

段階的に規模を拡大し、収入を増やしていく現実的なロードマップを示すことが、審査担当者の安心感につながります。

初期費用と運転資金を分けた資金計画

農業を始めるにはまとまった資金が必要です。
設備資金(初期費用)と運転資金(継続的な運営費)を明確に区別し、それぞれをどのように調達するのかを記載します。
また、生活費や借入金の返済計画も含め、経営の持続可能性を示す必要があります。

記入の具体例

資金計画の具体例は以下の通りです。

  • 設備資金:ビニールハウス建設費(500万円)、農機具購入費(200万円)
  • 運転資金(初年度):種苗代・肥料代(100万円)、生活費(240万円)
  • 調達方法:自己資金(300万円)、青年等就農資金からの借入(740万円)

ここで最も注意すべき点は、必要資金の合計金額と調達方法の合計金額を必ず一致させることです。
また、月間の生活費や年間の貯蓄額も現実的な数字を設定し、無理のない返済計画であることをアピールします。

新規就農に向けた営農計画書作成の総括

新規就農に向けた営農計画書作成の総括

この記事では、新規就農を目指す方が直面する書類作成の課題について解説してきました。
重要なポイントを以下に整理します。

  • 営農計画書は、農地取得や融資審査において不可欠な重要書類です。
  • 各自治体が公開している記入例やテンプレートを活用することで、効率的かつ正確に作成できます。
  • 創業の動機や目的は、過去の経験と将来のビジョンを結びつけて具体的に記載します。
  • 営農内容や資金計画は、複数年の見通しを立て、現実的でつじつまの合った数値で示すことが求められます。

これらのポイントを押さえることで、審査担当者に就農への熱意と計画の確実性をしっかりと伝えることができます。

あなたの就農への熱意を計画書という形にしましょう

営農計画書の作成は、細かな数値の計算や将来の予測が必要となるため、決して簡単な作業ではありません。
しかし、この計画書を作成する過程そのものが、ご自身の農業経営を客観的に見つめ直し、成功への道筋を確かなものにするための大切な準備期間となります。
もし作成に行き詰まった場合は、お一人で悩む必要はありません。
地域の農業委員会や農業アカデミー、自治体の就農相談窓口などで、専門家による添削支援を受けることも有効な手段と考えられます。
まずは、ご希望の自治体のウェブサイトから記入例をダウンロードし、書けるところから少しずつ文字に起こしてみてはいかがでしょうか。
あなたの農業に対する情熱が、素晴らしい計画書として形になり、豊かな実りをもたらす第一歩となることを応援しております。